2019/02/16 15:28
知らない小さな女の子に、電信柱と間違われた話。これは私の2018年のお気に入りのエピソードのひとつです。
近所のスーパーマーケットに歩いて行く途中、横断歩道の信号待ちをしていました。私はグレーのパーカーと黒っぽいジャージを着ていて。
すぐ斜め後ろに小学校中学年くらいの女の子とその父親(らしき人)の親子が話しながら同じく信号が変わるのを待っていました。
突然、女の子が手に持ったキャンディーを「こんなに短くなっちゃったぁ!」と掲げながら私の足に抱きつくように寄りかかってきました。びっくりして振り向くと、女の子はそのままの体勢でキャンディーを眺めながらニコニコ。お父さんも「ど、どうしたっ?」と全身で驚いています。女の子は初めて気がついたかのように私を見上げると「電信柱と間違えちゃったぁ!」と言い、笑顔でグニャグニャ身体を動かしながら離れていきました。「う、うそだろ…?」と戸惑い笑うお父さん。たしかに私の隣には電信柱があったのですが。
何か気の利いたことを言えれば良かったのだけど、口から言葉が何も出ないまま信号は青に。私のほうが照れ笑いしながら、なんだか一瞬のファンタジーみたいな空間を残してまた歩き出しました。
あの子、面白かったなぁ。
それにしても、小さな女の子の身体ってなんて柔らかくて華奢なんだろうと思いました。わぁ、気持ちいい。幸せに似た感じがしました。
木版画「イーダちゃん」(2018年)
グループ展「小さいイーダちゃんの花」出展。花が咲いて枯れていく、時間の流れと植物の不思議。