レジ接客 | あぁ、楽しや木版画!

2020/10/22 12:55

 レジ打ちアルバイトを始めて12ヶ月ほど経ちました。私のバイト遍歴では、これはかなり長く続いているほうです。勤務日数も勤務時間も少なくしてもらっているおかげもあります。

 スーパーではなく、ショッピングビルの広いフロア中央にあるレジで、お客さんがカゴに入れてくるのは生鮮食品と加工食品のみ。日用品はありません。レジ業務自体はおそらく一般的なスーパーとほぼ変わらないと思います。


 レジという接客はある種の流れ作業。丁寧さや正確さと同時に、流れが滞らないよう早さを求められます。この早さというのがやっかいで、私なんかは早さばかりにとらわれていると、あっという間に無表情の無感情になってしまいます。そして粗雑に。

 去年、働き始めて仕事に少し慣れてきた頃、そのときはまだレジ袋が無料で、ピッ、ピッ、ピッと商品を通し終わり、お会計を告げながら袋をカゴに入れる、という一連の動作をとにかく早く機械的にこなしていたら、だんだん機械的どころか気付かないうちに少々乱暴になってきて、最後は無意識に袋をカゴにブチ込むような状態に。あるとき一人の女性客がそのブチ込まれたぐしゃぐしゃのレジ袋を会計前に恐る恐る(というか呆れた様子で)手に取りたたみ直すのを見てハッとしました。これはいかん。早さよりもまずは丁寧さでした。

 ところで、レジで後ろに並ぶ人を気にして慌てて会計を済ませるお客さんて意外と多いんです。

 先日も、年配女性が「私焦っちゃうのよね、後ろに並ぶ人に睨まれちゃうじゃない?」と言っていたし、小銭やポイントカードを探しながら「ごめんなさい」と詫びる人も多い。その都度「ごゆっくりどうぞ」と声をかけてみるものの、実際には列が長くなればなるほど私自身からも焦りのオーラが出始めます。見るからに落ち着きを失くした私のレジ接客が、そういったお客さんの焦りに拍車をかけている、ということも無くはない。なるべくゆったり構えていたい。

 お客さんは人それぞれ、その日の気分もそれぞれ、万人を満足させるのは不可能です。

 接客とはきっと無償の愛に近い。過剰にも思える接客マニュアルや横柄な客には閉口することもあるけど、心から「ありがとうございます」と言っている瞬間ってたまにあるんですね。本来は常にそうあるべきなんでしょうけど。だいたいは、あと1時間、あと30分、と勤務終了カウントダウンをし、そういうときに限って時計の進みが遅い。でも、ふいに、どうぞ良い一日を、と送り出したい気持ちがわく瞬間もあったりするわけです。

 内弁慶な私は、見ず知らずのお客さんに笑顔をつくるのが下手。相手が微笑んでいるときは自然に微笑み返せるのですが、最初から笑っているお客さんは多くありません。街では、天職のように笑顔で客を迎え入れる店員をたまに見かけますが、あれこそまさにひとつの愛なのではなどと考えながら働いていたら、ついこの間、レジでマイナス5千円ほどの誤差を出してしまい、初めて反省文を書かされました。あのミスは結構こたえました。

 バイト中の大敵は考え事。うわの空は私の特技なのになぁ。



木版画 2020年