松前漬け | あぁ、楽しや木版画!

2021/05/26 18:20

 昨夜、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」を観ていたら、松田龍平が松たか子の家に来て、北海道土産の松前漬けが入ったビニールを玄関先に下げていくシーンがあり、そういえば、と一昨年のことを思い出しました。


 1年間だけ住んだ古アパート。越してきてすぐの元旦、実家に集まった家族と食事を済ませ夜電車でアパートに帰ると、ドアに白いビニール袋がかかっていました。え?と思って中を見ると、東北土産らしき松前漬けとバウムクーヘンが1箱ずつ入っています。当然メモか何かあるだろうと袋の中をかき混ぜるように探しましたが、ありません。ポストの中も空でした。
 ほとんどの友人にまだ住所を教えていないし、念のため心当たりにはメールで確認もしたし、メモくらい入れてくれるはず。これは一体……。きっと両隣どちらかの部屋と間違えたに違いない。両方のチャイムを鳴らしましたが、その夜はどちらも応答がありませんでした。松前漬けの箱には要冷蔵の表記が。仕方ない、ひとまずビニールごと冷蔵庫に入れておくことに。
 翌日か、翌々日だったか、ようやく隣の女性に状況を説明し、そういった土産物を受け取る予定はなかったかと尋ねましたが、全く心当たりは無いとのことでした。反対隣の部屋は、何度も日をおいてチャイムを押しましたが反応がありません。それにこの部屋の男性は、ドアの横にビラやチラシを信じられないくらいドサッと捨て置いていて、あまり関わりたくもない。参ったなぁ。私の部屋は1年以上空き部屋だったそうだし、誰かが訪ねてくるとも考え難い。まさか自分で食べる勇気も無いし、なんか気味悪いし。
 結局、そのあと数日経ってから最寄りの交番に持っていくと、興味なさそうなお巡りさんに拾得物の用紙を書かされただけでした。予想以上に事務的なんだな。気を揉んできた時間を思うと少し虚しくもなる。なんかもっとこう……ちょっと驚くとかさ、誰だったんでしょうねとかさ、話したかったんだけど。ともかく、拾得物は一定期間保管されたあと処分されるんだそう。

 交番に預けて少しホッともしたけど、本当に謎です。なんでメモが無かったのか、入れ忘れたのか、なんでよりによって元旦だったのか、私の部屋だったのか、本当に謎です。誰が誰に宛てたお土産だったんだろう。ドアノブにかけた人の気持ちを考えると可哀想っていうか、申し訳ないっていうか。松前漬けとバウムクーヘンにも罪は無いだけに、届くべき人に届いてほしかったな。

 なんだか変なこと思い出しちゃったけど、ドラマは面白かったです。