梅雨明け直前の曇りの日、散歩中に今年初のセミの鳴き声を聞いた。弱々しくてぎこちない、まるでまだ鳴き方を知らないみたいな、初めて発してみたような一匹の可笑しな声だった。
5月に対人関係療法が終了し感無量の気持ちでいたのが、だんだんやっぱ難しいわと先行き不安になったり、また自分でおさらいして、よしよし大丈夫と思えたりしてる。
この療法は、始まったその日から終わりまでに私の中にたくさんの安心の種を蒔いてくれた。
自分の領域、他人の領域があることを知ったり、自分に優しくする方法や、自他を尊重する方法を知ったり。書ききれないくらいだけど、中でも、「当然」って思っていいことを知って安心した。人間だから当然です、と教わって。
不安になって当然。羨んで当然。衝撃を受けて、怒って当然。立派な人間にならなきゃって焦っちゃうのも当然。今まで自分はなんて小さくて弱くて恥ずかしくて情けない人間なんだろうと思ってきたけど、うまくできなくても、今はこれでいい。それが人間なんですよ。と、知って。
あぁ、人間はそういう生きもので、私は人間なんだなぁと。こんな当たり前なことだけど、私は人間ってもっと完璧なものだと勘違いしてきたから。
波があるのが人間の通常運転だと今は思いながら生活している。これからも、当然、当然と言いながら、コツコツ日々を生きていくのである。
もう今日はセミもだんだんうるさいくらい鳴き出して、暑い夏の始まりか。暑すぎるのは怠くて辛い。
でもなんか夏の始まりはのびやかな気持ちになる。