2022/12/30 21:07
前野健太年末ライブ。
今年3度目になる吉祥寺MANDA-LA2。
いつも受付で予約番号と名前を告げるとき、なんだか面接とかオーディションに来たみたいだなって思う。44番、保立です。
マエケンのライブは、というよりライブのマエケンは、草花のよう。今年、夏のライブを観たあとでそう思った。
たとえば、散歩途中の道ばたで雑草の花をプチプチっと摘んで帰ると、家に着く頃には花はもう力なくうなだれている。茎の先をチョキンと切って、小さな花瓶の水に差し、光の入る場所に置いておく。すると、もうダメかと思っていたものが、ゆっくり水を吸い上げて、だんだん起き上がっていく。1時間もすると見事なまでに生き返り、花はすっかり太陽の方を向いている。
ライブ中のマエケンは、すごくそれに似ている気がする。
拍手で迎えられステージに登場するサングラスのマエケンは、うなだれてはないけれど、哀愁がただよって。
それが、ギターを抱えてMCをして、歌を歌っていくうちに、何を吸い上げているのか分からないけど、みるみる起き上がっていく。花みたいに生き返っていく。その様子は見事なもので、感動的というか狂気的というか、やっぱり見事としか言いようがない。
今回のライブでは、ステージに登場したマエケンは不思議ともう既に半分咲いていた。
たっぷり2時間半、満開に生き返り、無事今年も終演した。
帰宅後、年始まで視聴可能という配信も購入し、また見ていると、終盤ひょんな展開でカメラのアングルが切り替わり、観客の中に私の顔も映り込んでいた。
ライブを観ている自分を観る、というのは、たぶんこれが初めてなんじゃないか。うっとり惚けた顔が、マスクをしていても、結構恥ずかしい。
面白いなと思ったのは、そこにいる自分がなんだか小学生みたいに見えること。
小学生の頃の自分とほとんど変わっていないなと。臆病で、好奇心がいっぱい。
私は私以外のものにはなれないね、と妙に腑に落ちた。
楽しそうにしている自分の姿を見ながら、良かったねぇ、とまるで親心かのように、
パソコンの画面に向かって、39歳の自分がうんうん頷いている。