2023/09/09 16:12
夜の吉祥寺、前野健太ソロライブ。また行ったのかと。引力に抗えず。
推し活、というんですね、世の中的には。
たしかにトキメキに溢れている。
マエケンは私にとって紛れもないスターであり、もはや半分師匠であり、文化への導き手でもある。
葉菜ちゃんそろそろ頭おかしくなっちゃったんじゃないのと心配されるだろうか。
私もそれは心配してる。でも大丈夫。冷静な自分もちゃんといる。
あるライブ終盤、マエケンが客席に降りてきた。歌い歩き、いよいよ歌声も熱気もギターも間近に迫った。
うわぁ、スターが! 近い! 眩しい! 胸がギュウっとなったそのとき。
私のすぐ前に座るひとりの女性ファンの両耳が、ふぁ~っと真っ赤に染まっていくのを見たのです。
今でも目に浮かぶ。5秒くらいかけてゆっくりと、燃えるように赤く。
その女性がまさに今胸に抱いているであろうトキメキが、その耳たぶから、後ろ姿から、切ないほど伝わってきた。
私は心を重ね合わせ(勝手に)、一瞬胸が押しつぶされそうになったあと、妙に冷静になった。
これは危ないぞと。これはかなり独特な世界だぞと。
こういうトキメキをこのライブハウス中の観客が抱えているというのか。
一旦お休みしよう、そうしよう、と思い、約1ヶ月のインターバルを経て行き着いたのは、これはショーである、ということ。
酔いしれるためのショーなのである。
そして染まりきれない私なら、半分研究にすればいい、取材にすればいい。マエケンは研究対象で、私は研究員だ。
道化師的マエケン、マエケンの諦念、死生観、ちょっと歪んだ女性観、優しさ、、、知りたいことは山ほどある。
最後は論文にまとめよう。きっと家族や友人数人は読んでくれるかもしれない。
うそうそ、やっぱり論文なんて書けないから、代わりに版画にしていこうと思う。ちょっとずつ。
版画にせずして、何にする。せっかく出会えたトキメキで、私は版画家なのだから。