2023/12/28 21:36
山本アマネさんと知り合ったのはいつどこでだったろうか、思い出せない。
おそらく何年も前にタンバリンギャラリーを介してだったと思う。
コラージュ作品を作ったり、読書家で、文章を書く人、とざっくりした認識だけでいたのだが、私はこの約1ヶ月の間にすっかりアマネファンになりつつある。
アマネさんはときどき個展を観に来てくださる。
先日の個展でもちょうど私が在店中にいらしてくださって、ほんの少しだけお話しした。
そういえば、今年の夏頃か、サニーボーイブックスで古本や作家のZINEを物色しているとき、アマネさんの『今のための音楽』という冊子をパラリ立ち読みした。なんだか面白そうと買ったのだが、そのあと積読のまま放置していた。
きちんと読んでいたら感想のひとつでも今伝えられたのに、と展示を観ているアマネさんの後ろ姿を眺めながらちょっと悔やんだ。
結局冊子のことは何も言えなかった。
個展が終わってぼーっとする中、ふとそれを思い出し、『今のための音楽』を開いてみたのだった。
アマネさんセレクトの音楽14曲と、それにまつわる思い出についての文章と、コラージュ作品。
読み進めながらたまらない気持ちになった。すごい、すごすぎる。
初夏の原っぱみたいに無邪気に透き通り、夕焼けみたいに切ない、アマネさんの世界。
外国の文学作品が翻訳されたような、不思議とそんな佇まいの文章。といって私は翻訳物をほとんど読んだことはないけれど。
アマネさんの作品、もっと読んでみたくなった。
コラージュはアマネさんの脳内宇宙だろうか。
当然、そこで紹介されている音楽も聴きたくなる。
一曲一曲、検索して聴いてみる。プレイリストに入れていく。とても良い感じだ。
私の好みでそこから枝分かれしていくのもまた楽しい。
知らない歌手の名前をちゃんと覚えようとしない自分を少しばかり残念に思いつつ、まあ仕方がない。
好きなものはいずれ自然と身に付いていくだろう。
音楽を、音楽のある人生を愛おしむアマネさんの姿がありありと伝わってくる、丁寧に作られたとても素敵な冊子だった。
アマネさんの音楽、思い出の物語。いくつも教えてもらって胸がいっぱいになった。