2024/02/29 13:29
一昨日の晩は吉祥寺スターパインズカフェで前野健太ソロライブがあった。
心待ちにしていた約2ヶ月ぶりのライブ鑑賞の、その直前に、思わぬ"血豆アクシデント"に見舞われた。
支度も済み出掛けるまで少し時間を持て余し、南部せんべいの袋を開けてしまったのが全ての始まりだった。
小松製菓『厚焼きピーナツ』は3枚入りの食べ応えあるクッキータイプの南部せんべい。最近ハマっていてこれがまた美味しい。
特に空腹でもなかったのに食べ始めるとつい止まらなくなった。
食べている最中、カツンと左頬の内側を噛んでしまった。疲れているとき固いものを食べると私はよく頬を噛んで血豆を作ってしまう。噛み合わせの問題でもあるのか、最近噛み癖がついてきて困っている。
今回もすぐに血豆が現れ、あずき大に膨らんだ。口を動かすとチクリと痛む。
あ〜、やってしまった。よりによってライブ前に血豆を作ってしまうとは。
そのあと歯磨きをすると血豆は金時豆大に膨らんだ。周囲の粘膜がパツンパツンに引っ張られて、痛い。
いっそのこと破裂してくれたほうが痛みがマシになるだろう、そう思ってちょっといじくってみた。これが本当に馬鹿だった。
血豆は潰れるどころかますます膨らんで、いよいよ大粒の巨峰みたいになってしまった。こんなことは初めてだ。
見たこともない巨大な血豆に慄く。外から見てもこぶになっている。一気に不安が押し寄せた。
これはまずい、これはまずい。ライブに行けないかもしれない。
半泣きでひとまず歩いて近くの総合病院へ行くことにした。
何科で診てもらえばいいのかわからなかったけど、とにかく誰か、助けてください、、、
受付はすでに終了していた。カウンターの人に事情を説明すると、ちょっとお待ちくださいと誰かを呼びに行き、なんか血豆が大きくなっちゃったらしくて、と看護師の女性と戻ってきた。看護師は側に来て、見せてもらえます? と言い、私がマスクを外して口を開けてみせると、一拍おいてから、「それは血豆のレベルを超えています」と真面目な顔で言うのだった。
看護師の女性はとても親切でテキパキした方で、近隣の口腔外科を2箇所教えてくれ、でも予約制でそもそもこの時間ではおそらく受診は無理であることも教えてくれた。そして、たぶん徐々に血が吸収されて、何日もかけて自然に治っていくとは思うけれど、そのままだと日常生活に支障をきたすだろうし、噛み癖があるなら一度ちゃんと診てもらうといいとアドバイスしてくれた。
おかげで気持ちがだいぶ落ち着いた。時間外にもかかわらず、本当にありがたかった。
病院を出て時計を見ると、まだ予定の電車に間に合う。とにかくライブに行こう。
駅へと急ぐとだんだん口の中に血の味が広がって、巨峰サイズの血豆から血が少しずつ流れ出ているようだった。痛みも和らいできた。
なんでこのタイミングで、なんで南部せんべいなんて、、、とか色々浮かんだけど、いやいや、こういう日もあるでしょう。それが人生ってもんでしょう、と思い直した。半分放心状態で電車に揺られていると吉祥寺まであっという間だった。
ライブはとても良かった。無事に観に来れて本当に良かった。
ギターはだんだん生きもののように見えてきた。マエケンの右腕が力一杯ジャカジャカ掻き鳴らすそこがギターの心臓なのだろうか。なんとも言えない感情が躍動し、音を響かせているようだった。それは私の心臓であり、観客ひとりひとりの心臓でもあり、マエケン自身の心臓であるような、そんな気にさせられた。
終盤、2階席に上がったマエケンを見上げる前方の観客の顔、顔、顔に淡い光が降り注ぐ。
とっても綺麗な光景で目に焼き付いている。
血豆のことなんてすっかり忘れていた。