2024/03/30 11:07

図書館の資料検索で、目当ての著者の関連図書の中に『下戸の夜』というのがあるのを偶然見つけた。

借りてみたらこれがとても面白い。私も下戸である。


外で読みながら、あ~わかるわかると頷いていた。最初から白ご飯と味噌汁頼みたい、とか。

飲む人は飲み始めて90分経った瞬間にみんなおかしくなるという、90分の法則というのも覚えておこうと思った。

中には思わず声を出して笑ってしまったエッセイなどもあり、思いがけず勇気をもらえた。


学生の頃、友達やバイト仲間との飲み会があると、私は飲めない身体でカシスオレンジやカシスウーロンを無理やり飲んでいた。

一口飲むだけで心臓がバクバクし、顔が真っ赤になり、体の節々が痒くなる。眠くなる。

でもジュースみたいで、味は好きだった。


大学卒業後にはもう無理に飲むようなこともしなくなって、30代はほぼ全くお酒を飲んでいない。

どんな集まりも、『下戸の夜』にも度々登場するジンジャーエールとウーロン茶で乗り切った。

そもそも飲み会風のものが減り、代わりに美味しいご飯屋さんに行くことが増え、飲みたい人は飲み、飲まない人は飲まないだけのことになった。

私もお酒が飲めたらなあ、と寂しくなることは今でももちろんあるけど。


一昨年友人に誘ってもらって代々木上原の小さなバーにライブを観に行ったとき、カウンターに座り、2本目のビールを注文する友人の横で私は2杯目のジンジャーエールを注文し、そのときはさすがになんかちょっと恥ずかしかった。

なんとなく手持ち無沙汰で喉も渇いちゃって注文したけど、仄暗いバーで良い音楽を聴きながら、私はジンジャーエールを2杯も飲むのかと。でも他に飲めるものも無くて、そういうとき下戸はちょっと悲しい。


40歳目前のある日、スーパーでふと梅酒を買ってみた。チョーヤの利き梅酒セットというのを見つけて。

簡易の紙箱から60ml入りのちっちゃな瓶が3種並んで顔を出している。

梅酒の梅を食べるのは子供の頃から好きだったし、小さなサイズっていうのが自分にはぴったりと思って。

梅酒なら飲めるかもしれないと淡い期待を抱いた。


おそらく10年以上ぶりに飲む梅酒はとにかく甘く、そして懐かしい味がした。

お湯で割るとギリギリ1本は飲めたが、半分も飲めずに具合が悪くなる日もあった。

それから日本酒も試したりなんかして、ワクワクもした。

でもやっぱり私はお酒が飲めないし、無理に飲む必要もないという結論に至った。


そういえば梅酒で思い出した。

去年の6月に初めて自分で梅酒を仕込んでみたのだった。梅仕事楽しいよ、という友人の言葉に背中を押されて。

冷暗所で寝かせている大きな赤いフタの瓶。あと数ヶ月経てば一年熟成というわけか。

中の梅を食べるのが何よりの楽しみである。


昨夏、ときどき家でノンアルコールビールを飲むようになったと友人や家族に話すと「ハナも大人になったねえ」とか「ビールは喉で飲むんだよ」とか言われた。

本物のビールの美味しさをそもそも知らない私がこれを飲むことに、なんの意味があるんだろう、と我にかえることもある。なんなんだこれはと。

それでもグラスにシュワシュワとビール風のものを注ぎ、美味しそうに眺めてから喉で味わってみる新体験は、なんとも心弾むものであった。