2024/09/08 20:50
久しぶりに夕方ゆっくり歩いた。だいぶ空が高くなっていた。
ツクツクボウシの鳴き声にどこかの家の蚊取り線香の匂いが重なって、クラっときた。
ノスタルジックというのでしょうか。一瞬にして幼少期に戻ったかのようだった。
夏のあいだ暑すぎて足が遠のいていた小さな林に向かう。
緑の密度がとんでもなく増していた。草という草が、背高くモリモリ伸びていた。
春には見えていた土がすっかり覆われている。夏はきっと手入れが追いつかないのだろう。
空の明かりがほとんど届かない、夕暮れの薄暗い木々のトンネルゾーンはちょっと怖かった。
カラスと虫とあらゆる小さな生き物の大合唱に早く歩けとけしかけられているみたいだ。
人間は私だけ。お邪魔しま〜すと思いながら早足で歩いた。歩かせていただいている、感じだった。
そうだよなと思った。人間はこの地球に住まわせていただいているんだった。
林の出入口に「秘密の花園」感が漂うゾーンがあり、それは今日も健在だった。奥へと誘うようなサルスベリ。
道が整備されていないこの先は管理人以外立ち入り禁止で、それが余計に秘密の花園感を演出している。
帰り道、庭木に実っているまだ青い柿を見て、ああ柿が楽しみだなあと思うと一気に嬉しくなった。