2025/03/08 15:15
山高登 木版画集「東京昭和百景」という画集のページをめくりながら、朝からうっとりしています。
先日大森のギャラリーMIRAI blancで山高登 木版画展を観て、そこで買った本。
今回初めて知った作家の山高さんは2020年に99歳で亡くなられていますが、画集は2014年に発行されたもの。昭和の街並み自体には、私自身はもともとそこまで魅力を感じるわけではないけれど、ひとつひとつの版画作品が素晴らしく、迷わず購入しました。
ピンとくる風景を探しながら街を歩き廻る山高さん。"ああ、これも絵にすれば面白いなと思ったりする" と言い、おっ、とその都度足を止める作家のその姿が、目に浮かぶような気がします。入念なスケッチにかけたであろう長い時間も画面から感じられ、ほんとに、ニクい絵が、構図が、モチーフがいっぱいあります。
好きだという気持ち、記録したいという気持ちが、こうやってこだわりにつながるんだなあと思うと、作品はもちろんのこと、制作という行為そのものがとても愛おしいものに思えてきます。
陰影の付け方、色版の重ね方、普段私が作っているのとはタッチも画材も違う版画だからこそ、ははぁん、なるほどと勉強になる。この部分のこの感じ、自分の作品に取り込んでみよう、と思いながら見るとまたわくわくします。
そういうのはいざ自分でやってみると、初めは全然うまくいかないもので、落ち込みます。でも自分なりのやり方が少しずつ掴めてくると、だんだん楽しくなってきます。
展示会場では、メインの風景画以外にも、壁沿いのテーブルに山高さん制作の蔵書票がたくさん並べられていて、ここに私の心は釘付けになってしまいました。手のひらにちょうど収まるほどの大きさの、とっても素敵な蔵書票たちを、メガネがテーブルにくっつきそうになるくらい、文字通り食い入るように見せてもらいました。
蔵書票の文化に私は馴染みがなく、でも蔵書票の版画は以前から好きで、これは次はミニ版画だなと、新たな野望が芽生えました。エクスリブリスの文字を入れなくても、とにかく蔵書票に倣ってミニ版画をたくさん作りたくなりました。