2025/03/17 22:10
『本の雑誌』4月号をチェックしに図書館へ。
マエケンのエッセイ集『百年後』について、なにやら書かれているらしかった。我ながら細やかな情報収集である。
ちょうど空いていたテーブル席に腰掛ける。
エッセイが特集の本号。『百年後』の編集者である森山裕之さんも文章を寄せていて、『百年後』に込めた熱い思いが冒頭に綴られていた。作り手の思いを窺い知ることができて嬉しかった。
100年後を生きる人たちにまで手渡されていく、歌とエッセイ。夢があるなあ。
広い静かな図書館で、私は黙々と雑誌を読み進めていた。
と、そのとき。すぐ斜め後ろ、私とは背中合わせの一人掛けソファに座っていた老人男性が、突然大きな音で鼻をかんだ。
不意打ちでビクッとした。スーとか、ズーとかでなく、ブー! とうるさく鳴るタイプの鼻かみで、間近で聞くと脳天に響いた。
ブー、ブー! ブー、ブー!
老人はなかなか鼻をかみ終えない。
4、5回目のブー直後、意外な展開があった。
老人の隣に座る中年女性がひとこと、物申したのである。
「あのー、申し訳ないんですけど、うるさいんですけど」
淡々とした声色でピシャリと。その場に、わずかに緊張が走ったように感じられた。
鼻をかむ音はピタリと止んだ。
何事もなかったかのように図書館は静かに再開した。
私はただただ、すごいな、と思いながら背中で聞いていた。どちらに共感するでもしないでもなく。
あの老人はもしかして、言われてみて初めて、これってうるさいのか、と気づいた、ということも場合によってはあるのかもしれないな。あとあと、そう思ったりした。
雑誌の特集には、今注目のエッセイ本というのが何冊か紹介されていて、そのどれかを買ってみようと帰りに本屋に寄ってみたのだが。エッセイ棚の前に立ってみるとなんだか、急に気持ちがげんなりしてきた。本が多すぎて。
ずらっと並ぶ本が喋りかけてくるようで、今はこれと手に取る気にならなかった。今度にしようと思った。
代わりに、さっきまで読んでいた『本の雑誌』4月号を買って帰った。