2026/07/12 17:31
年末のぎっくり腰以来いまいち腰の調子が良くないので念のためMRIを撮ることにした。
MRIは10年ほど前に脳の検査で一度経験済みである。白い筒状の機械の中でじっと終わるのを待てばいいだけのこと。特段なんの心配もせずに向かった。
金属を身につけていないか、磁石が使われた何かが身体の中にないか。事前の問診票でも、検査室に入る前にも何度も聞かれるもんだから、今回はそれが妙に心配になった。ヒートテックもジェルネイルもカラーコンタクトもダメだと書いてある。危険なのだそうだ。どれも身につけていないが、他に何かないだろうか。
技師のおじさんにパジャマ風の検査着を渡され説明を受けたときには「生理用ナプキンは大丈夫ですか」と大真面目に聞いてしまったくらい。バカみたいだけど。気になることは聞いておきたい。
靴を脱いで台の上に仰向けになり、腰が固定された。
何分くらいかかるか聞くと20分弱であると。勝手に5分くらいのものだと記憶していた。
「閉所恐怖症ではないですね」と今一度確認され、「はい、でも得意ってわけではないですけど」と私。
「まあ狭いところが得意な人はあんまりいないですけどね」技師のおじさんはそう言って笑って、あれよあれよという間に私は頭から腰まで機械の中にすっぽり収められた。おじさんが部屋を出て行くやいなや始動した。
なんかちょっと、まだ心の準備が整っていないまま始まってしまった。
金属、ないよね、ないよな。いや、ないとは思うんだけど。玄関の鍵閉めたっけ? ガスは止めたっけ? みたいな不安に少し似てる。確認して安心したい。
ドゥン・チャ、ドゥン・チャ、ドゥン・チャっていう大きな検査音に余計不安が煽られる。どうしよう。
やばい、一旦出たい。出て落ち着きたい、と思ってそこで初めて、ナースコールを渡されていないことに気がついた。ドキドキしてきた。
身体は動かさぬまま「あの、すみませーん、すみませーん!」と大きな声で呼びかけてみた。けど、誰も来ないし検査音も止まらない。胸が上下するほど呼吸が激しくなってきた。頭に血が上って変な汗が出てきた。とにかく深呼吸、深呼吸。深呼吸で落ち着かなくちゃ。
深呼吸だけに集中していたらだんだんと鎮まってきた。大丈夫、大丈夫と繰り返し唱えていたら、ようやくもう大丈夫だと思えた。中断されないなら何も問題がないということだろう。いつのまにかうつらうつらして、検査は終了。事なきを得た。
パニックってこういう感じなのかと、初めて知った。怖かった。
検査結果を見た医師からは、こことここが変性、ヘルニアですねと言われた。
ヘルニアについて実のところよく知らなかったが良いイメージはない。あーあ、ヘルニアかと暗い気持ちになりかけた。
すると医師が「ヘルニアなので、大丈夫です」と言う。そのあとも、大丈夫でした、大丈夫です、と何度か言われて意外だった。もっと悪い状態でなくてよかったと、そういう意味らしい。なんだか安心した。
姿勢に気をつけてインナーマッスル鍛えながら、付き合っていくということか。すこし気持ちが軽くなった。
なんというか「大丈夫」って頼もしい。
パニックになりかけたときも深呼吸と「大丈夫」で乗り切った。ヘルニアがあっても「大丈夫です」って言ってもらえて。
検査前に生理用ナプキンは大丈夫かと聞いたときにも「大丈夫です」と大きく頷かれたっけ。
大丈夫、だいじょーぶ。
あぁ、大抵のことは、だんだん、本当に大丈夫だと思えてくるよ。

